7人の小人
「出来ました!ご飯にしましょう」
俺は出来上がったおにぎりを食卓に持っていった。
「わー翔ちゃんありがとう!腹減ったぁ」
「俺も、レッスンしてきたからめっちゃ腹減ったわ」
蒼くんと駆さんもリビングにやってきて、俺を挟んで向かいあうように食卓についた。
「いっただっきまーす」
3人で手を合わせ、食べ始めた。
「うーん、めちゃうま!やっぱ腹が減ってる時のご飯ってうめーな」
蒼くんはよっぽどお腹が空いていたのか、まるで漫画のーコマのようにもぐもぐと音を立てながらおにぎりを頬張っている。
「おい、ソウ」
「ん?」
駆さんは手招きするような仕草をし、蒼くんは身を乗り出すように顔を上げた。
その瞬間
「!!!」
ぺろっ
駆さんが蒼くんの頬に舌でキスをしたのだ。
「ちょ、かっくん...」
「ご飯粒、ついてたぞ」
駆さんはそう言って、舌先でなめとったご飯粒を指で拭いとり、ウインクをした。
「ちょ...っ、え」
「ついてたぞ、頬っぺにご飯粒。だから取ってやったんだよ」
「!!!!」
蒼くんは一気に顔が赤くなった。
「あ...そ...そっか。うん...ありがとう」
「ああ、気を付けろよ」
駆さんはなんともなかったかのように返答をした。
が、
いやいや、今俺は一体何を見せられたんだ!? 何事もなかったかのように済まされているが、こんなのただのノロケじゃねーか!
まあ蒼くんの方はまだ恥ずかしい様子で顔を赤らめたままなので、完全になんともなかったという雰囲気ではないのだが。
まったく!この3人だけでいる時でもさりげなくいちゃつく気なのかこいつらは!
まあ俺は?普段から周りが全員カップルな中1人だけ独身っていう身で過ごしてきてますから?気まずいとか寂しいとかの感情はないですけど?
だがまあ、せっかく久しぶりに普段から仲良くしてる3人だけで過ごす時間ができたわけだから、ちょっとくらいは俺に気を遣ってくれるんじゃねーかと思っていたのだが、向こうにそんな気は微塵もなかったようだ。
普段から仲良くしてるいることもあってこのカップルには基本的に悪い感情はもっていないが、今回のような光景を見てしまうとやはりこいつらもバカップルだったなと思い出すのである。
だがまあいい。俺はいつだって見守る立場だから。
しっかり者で可愛いPromessailの末っ子五十嵐翔輝。今日もこうやってバカップル共を見守るとしよう。