7人の小人~side YZ~
7人全員でのイベントへの出演が決定した後、俺はファッションショーの準備とイベントで披露する曲の練習で目が回るほど忙しかった。
しかし、久々のグループでのイベント出演であるが故、メンバー全員での練習も久々で、忙しいながらも楽しい、嬉しいという気持ちが大きかった。
練習後もメンバー全員で一緒に夕飯を食べる機会が多くなり、毎日一緒に暮らしているにも関わらず久々にお互いの近況を話し合うようになった。
まあ、零司と2人でなら普段から状況報告はし合っているのだが。
「祐月、疲れてないか?」
ある日の夜、いつものように零司の部屋で2人でくつろいでいると、突然零司が聞いてきた。
「いや大丈夫だけど。どうした?」
「いや、最近忙しそうだからさ」
「ははっ。忙しいのには慣れてるよ」
俺はそう言って笑った。
「ならいいんだけどさ」
零司が答えた。
忙しいのに慣れているというのは本当だ。小さい頃から仕事三昧の生活してきたんだから。仕事があることがどれだけ有難いことかもよく知っている。
「でも、ちょっと無理してるだろ。おいで」
零司が腕を広げて、こちらにくるように目配せした。
健康的に筋肉のついた、大きくて逞しい腕。その腕の誘いに引き寄せられるように俺の体が零司の方へと動く。
すとんっ。
零司の胸の間に落ちて、そのまま擦り寄せられた頬で周辺の肌触りを堪能する。
そうしているうちにだんだんと眠気が襲ってきて、いつの間にか瞼が閉じられていた。
疲れてはいないと思っていたが、体は正直なものでちゃんと睡眠を欲していたのだ。
「よしよし」
少しずつ眠りの世界に入っていった俺の頭を、零司が撫でてくれている。
あぁ、安心する。ずっとこうしていたい。お前の手の温もりで、疲れや不安をすべて溶かしてほしい。
俺の、世界で一番愛する人。
「おやすみ」
明かりを消す音がして、部屋は暗闇に包まれた。